西山は教会を辞めた後、宗教という枠ではない‘善人協会’という社会活動を始めた。西山自身が、その人生を捧げて歩んできた宗教の道に、大きな弊害がある事に気づいたからだ。

宗教のエッセンスは二つであると考えられる。それは、敬天思想とモラルである。これは人生の指針になり世界を一つにする思想である。
しかし、外して宗教はそれだけに依らない。死後の世界を説く事によって人々を縛りつけるのだ。

人間の欲望のなかで最高のものは、‘死んだ後天国に行きたい’、あるいは‘永遠の幸福を得たい’という事に尽きる。
そのようなアメを与える一方で、‘これをしたら地獄に行く’、または‘これをしなければ先祖や子孫まで地獄に行く’と脅すのである。

霊界とは不可知の世界であるから、特定の能力を持つと主張する人間が、仮にデタラメを言ったとしても反証出来ない。
だから、救いとは人の話しを鵜呑みにするのではなく、その人自身が人生の中で苦しみ、もがきながらも切磋琢磨して見つける宝だと西山は考えたのだった。

西山は、そのような活動をしながら韓国、日本、アメリカを行ったり来たりしていた。

日本に来た時は、草創期に歩んだ兄弟姉妹とも会ったりしていたのだった。
その時も、草創期に歩んだ婦人の家に来ていた。

「先生、放蕩はそれ位にして早く帰って来て下さいな。」

「わたしは放蕩している訳ではない。追い出されたんだよ。」

「どちらでも一緒ですよ。」

そんな会話をしながらも、婦人はふんだんの手料理で、もてなしてくれるのである。

「そう言えば、先生お聞きになりました?久保さんが会長外されたみたいですよ。」

「本当か?久保くんが会長を外された?どうして。」

「表向きは、教会組織を解体して個団活動をしろという指示に従わなかったという事ですが…」

「実際は、どうしてだね。」

「最近は、中国に自動車工場を作るとかで、それは激しいノルマだったそうです。全国には、教会員が家や土地を担保にお金を作って、教会に貸したという人が何人もいたそうです。
でも、教会は全部あちらに送ってしまうから返すに返せない。
それで直接、久保さんの所に陳情する人たちがいたんです。
久保さんはあの通りの方でしょ。
会長通達で、最優先に返してあげなさいと言ったんです。
ところが、その話しがあの方の所にいって…、それでと言う事らしいです。」

数日後、西山は久保に電話をかけた。
西山は婦人の家で聞いた事を久保に話した。久保は特に否定も肯定もせず黙って聞いていた。

「久保くん。だからと言う訳ではないが、わたしと一緒にやらないか?」

「先生、お気持ちは嬉しいです。しかし、わたしは、まだまだこの教会に責任があります。投げ出す訳にはいきません。」

西山は心が痛かった。自分の責任を久保に押しつけているように感じたからだ。

「でも先生は本当に勇気のある方です。先生だったら、目をつぶれば教会で楽に生きる道もあるのに…。わたしは残念ですが、先生のようには出来ません。」

それ以降、西山と久保は連絡を取り合う事も無かった。

 


引用:小説 もう一つの自叙伝

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